認知症介護における色彩の知識の重要性

認知症の高齢者が食事をするに、卓上に食器以外の物が置いてあると食事を始めることが理解できず、箸に手がつかないことがあります。同様に、介護職員が派手な色のエプロンをしていると、認知症患者がエプロンの色彩に目を奪われて食事に集中できないこともあるようです。他に、テーブルクロスのデザインに気を取られることも珍しくありません。このように、色彩が認知症の高齢者に与える影響は看過できないほど大きいといえます。

認知症でなくても、オレンジ色など暖色系の色彩の部屋では食欲が増すなどの効果があるといわれています。認知症介護の色彩感覚はデリケートで、刺激的な色彩によって心を乱されることがあるため注意が必要です。視覚の衰えていない介護サービス利用者にとって、目に入る色彩は重要な意味を持つのです。介護職員は、こうした認知症の高齢者の反応を意識して、色彩に配慮しなから介護に当たることが大切です。認知症の高齢者の心を和ませる色彩を現場に準備できるよう努めましょう。

色彩が与える心理的効果を学ぶには、色彩検定やカラーリストの資格試験にチャレンジしてみる方法もあります。こうした検定や資格の試験を受けるため勉強すると、それぞれの色が持つ効果や様々な色の組み合わせがもたらす影響力について知識を得られます。テーブルクロスや介護スタッフが身につけるエプロンのデザインだけでなく、介護施設のインテリアについても、心理的影響を考慮した色彩を活かすことができます。このように、色彩に関してはより良い介護のために身につけておきたい知識といえます。